マイク・モニターの使い方


このときはジャズのカルテット… の筈が、結局吹いたのはエマヌエル・バッハ無伴奏1曲だけだったので、ドラム・ベース・ピアノは下がっていただいてノーマイク




 これもよく受ける質問。「フルートに使うマイクは何がいいですか?」


 ステージと録音では、全く選択が違ってきますが、そして録音ではフツーエンジニア任せなので、ここではステージでのことに限ってお話すると、ステージで、一番「ツブしがきく」のは、今のところ定番の、SHURE SM57のようです。その理由は…


 マイクの使い方、という中で、プレイヤー側の責任としてステージでやるべきことのひとつに、マイクとの距離の調節、があります。フルートは高音域のパワーが他の音域に比べて大きく、ラテンでの超高音域などでは、意識してマイクから離れるようにしないと、お客さんの鼓膜破りになってしまいます。エンジニアはフェーダー操作してくれますが、あまり細かい変化には対応しきれません。彼が操作しなければならないのはフルートのフェーダーだけではないからね。逆にジャズで、スローなバラード系などでは、低音域特有の音色を生かしてのソロを吹くことがあります。このようなときは、マイクの近接効果を利用するために、マイクとの距離を極力つめて(ボクは鼻先をかるく57のリング…あのギザギザのヤツ…に当てるようにしています)、息的にはffではなく、幅の広いゆったりした息で吹きます。基音成分の勝ったクリーミィな音になります。


 それらこれらを考えると、マイク側の条件としては、
① マイクが音に色付けしないこと
② 指向特性が適度に鋭いことはもちろんですが、距離に対する感度の変化がリニアなこと➡︎これらはマイクからの距離、角度を変えてヴォリュームを調整するので。
③ ①とも関係しますが、ハウリング・マージンが大きいこと。
が求められます。そのへんを追求すると、現在のところ結局、定番SM57になってしまうようです。


 …余談ですが、57も58も、結構個体差があるのですね。楽器選定のように、マイクを新品状態で選定することって普通はありませんから、何本かあるうちにいいの悪いのバラつきがあったとしても、それが出荷時からのものなのか、使用過程でコンディションに差がついたのか、エンジニアならともかくプレイヤーの立場では判断が難しいですが、先日たまたま、オール新品ではないですが、使用状況・管理ともに悪くない数本を試してみて、あきらかに個体差があることを確認しました。フルートの音のリアルさを決める2k〜3kHzあたりの「抜け」があきらかに違う。EQはなるべくブースト側には使いたくないから、もともとこの帯域の特性がいいにこしたことはないのですね。その中のベスト57に、デカデカと名前を書いてマイマイクにすることにしました…


 マイク距離のコントロールをやりやすくするためにも、マイキング…マイクのポジションは重要です。先ほどお話したような、極端なオンマイクから、超高音域鼓膜破り回避のためのオフポジションを自在に行き来するためには、ブームスタンドを使って、マイクが鼻の高さ(フルートよりやや高い位置)でほぼ水平になるようにセットします。フルートを吹く息は、水平より下向きに出ますから、これだと鼻が当たるところをリミットにする限りマイクを「吹いて」しまうこともなく、フルートがマイクに当たって傷つくこともなく、マイクから「逃げる」ときも距離をつかみやすいわけです。


 逆に、もう少し「おとなしい系」の音楽で、他の楽器とのブレンドを重視する場合には、少しオフ気味(マイクを離す)で、フルートよりも高い位置、ななめ前から、頭部管の歌口よりも少しジョイント寄りを狙うようにします。こうすることによって設定した距離よりもオンマイクになることを防ぎ、さらにオフにしたいときは、マイクにメガホンが付いている状態をイメージして、その範囲から逃げるようにします。


 屋外だったり、あまりないけどジェスロ・タルのようなロックでフルート吹く(トータルでの音圧変化が少なくてマイク距離調節の必要がない)ようなときには、コンタクトマイクも便利ですね。コンタクトだと動き廻れる(踊り廻れる)からね。ボクは最近はクルマの中にいつも、YAMAHA ST5&MC7のセットを積んであります。これは必要最低限のエフェクトも積んでるから、手元でエフェクトタイプ・パラメーター変えられるしね。ただし、ST5のアウトプットはアンバラだから、すこし大掛かりなPAにつなごうとするときは、あらかじめPAさんに相談しておくか、自分でDIを持ち込む必要があります。このセットはあくまでも簡易バージョンですから、SNはあまりよろしくなく、音響さんによってはいやがられるかも。最近ではST5のエフェクトを使うことも減ったので、代わりのコンタクト(あるいは至近距離用)としてゼンハイザーのE608を検討しています。


 いずれにしてもモニターから聴こえる自分の音をよく聴いて、自分で判断できない部分はエンジニアに助言を求めるか、バンドの他のメンバーに聴いてもらいます。






 ご質問は、yocchy6456@hotmail.co.jp まで
































































m(_ _)m